2024年度の全国統一防火標語は
守りたい未来があるから火の用心
住宅を含む建物火災は3年連続で増加しています。火災の怖さは1度に複数の死傷者が発生、近隣へ被害が広がることも少なくないことです。
[目次]
火災の発生状況と防火対策
- 火災の発生件数・ランキング
火災リスクがもっとも高いのは茨城県 - 出火原因のワースト10
- 放火(疑いを含む)の死者は266人
このページに掲載している数値等は、消防庁の統計資料(PDF)および資料から出典し、表やグラフは当サイトで作成。(二次情報として再利用はご自由に)
秋の全国火災予防運動
- 期間:令和6年11月9日(土)から15日(金)
- 標語:守りたい 未来があるから 火の用心
※令和6年度の全国統一防火標語です。令和7年3月の「春の火災予防運動」まで使われます。
重点項目
- 住宅防火対策の推進
- 乾燥時及び強風時火災発生防止対策の推進
- 放火火災防止対策の推進
- 特定防火対象物等における防火安全対策の徹底
- 製品火災の発生防止に向けた取組の推進
- 多数の者が集合する催しに対する火災予防指導等の徹底
(1)秋の火災予防運動のポスター
消防庁が公開・配布している火災予防ポスター、および事業者・店舗向けの防火対策のリーフレットをまとめています。職場や店舗、学校、ご家庭に掲示することで、火災予防が期待できると思います。消防庁が配布しているもので、ご自由にお使いいただけます。
「秋の全国火災予防運動」のポスターのモデルは女優の藤﨑ゆみあ さん、「防火標語」のポスターは女優の山﨑 玲奈(やまさき れな)さんです。
(2)事業者・店舗向け
多くの人が集まる場所では、火災だけでなく、地震発生時の避難経路の安全確認もお忘れなく。防災・防火対策がより重要な時期かもしれません。各リンク先(消防庁)で表示・印刷できます。(PDF)
- ④消火器の点検箇所
- ⑤自力避難困難な者が利用する施設における一時待避場所への水平避難訓練マニュアル
- ⑥業務用厨房機器の事故と火災防止
この冬は外食される方も増えると思います。飲食店では早めに消火設備の点検、火災予防、避難経路の安全確認を。
まとめてダウンロード
[zip形式]9.68MB
▲上記のリーフレット①~⑥を同梱しています。いずれもPDF形式です。
(3)自治会・町内会向けチラシ
自治会や町内会などで世帯や個人向けに配布・回覧用のチラシです。PDFで表示・印刷できます。
まとめてダウンロード
[zip形式]2.25MB
▲上記のチラシ①と②のPDFを同梱しています。
①は一般向けチラシ、②は多言語チラシ(英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ポルトガル語・タガログ語)です。①はPowerPointをお持ちの方は簡単に文字等を改変できます。編集用ファイル(ppt)を同梱しています。町内の名称を追記するなど、自由に改変してお使いください。(このチラシのみ消防庁でなく当サイトで作成)
近隣の方と協力しあい火災予防!
全国の火災発生状況
2023年の火災発生件数は3万8659件で、前年より2,345件多く3年連続の増加。
数値の出典:消防庁
発生状況(2023年)
総出火件数のおもな内訳
- 建物火災:20,968件
(うち住宅:11,293件) - 車両火災:3,523件
- 林野火災:1,290件
死傷者数は7,231人
- 死者数:1,500人
(うち住宅火災は977人。※自殺を除く)
- 負傷者数:5,731人
建物火災のおもな内訳
- 一般住宅:7,383件
- 共同住宅:3,564件
- 併用住宅:346件
住宅以外のおもな建物
- 特殊複合用途(※):2,094件
- 工場・作業場:1,767件
- 事務所:788件
- 飲食店:576件
※特殊複合用途とは1階を店舗、2階をオフィス、3階以上をマンションなどの居住スペースなど、ひとつの建物を複数の用途に使用している建築物。
店舗の火災は多数の死傷者が発生することも少なくありません。管理者は消火設備および避難経路、非常出口の点検(出口付近に物を置かない、扉を施錠しない)を!
飲食店では排気ダクトの清掃・点検を行いましょう。ダクト内に溜まったほこりなどに、調理中の火が燃え移る火災も発生しています。焼き肉店などは特に注意が必要。
事業所・工場などでは配線(ネズミなどにかじられたり、荷物等で踏まれてないか)、配電盤の点検(漏電チェック)、防火設備の点検が必要です。特に台風・豪雨などで水害被害を受けた建物は、十分な点検を行いましょう。
※漏電状態(電源ケーブルの絶縁物が切れる、破れるなどで電気が漏れる)では、電気が他の物質と干渉し、火花(スパーク)が発生することで火災の原因になる。
火災の発生が多い月
- 3月:4,677件(12.1%)
- 1月:3,643件(9.4%)
- 2月:3,625件(9.4%)
火災の発生が多い時間帯
- 14時~15時:14.0%
- 10時~11時:13.8%
- 12時~13時:13.7%
過去5年の状況(2019年~2023年)
▲グラフには林野火災、車両火災等は省略しています。総出火件数には含みます。
都道府県ランキング(2023年)
(1)総出火件数
順 位 |
都道 府県 |
総出火 件数 |
1 | 東京 | 4,365 |
2 | 千葉 | 2,104 |
3 | 神奈川 | 2,052 |
4 | 愛知 | 2,032 |
5 | 埼玉 | 1,996 |
6 | 大阪 | 1,967 |
7 | 北海 | 1,587 |
8 | 兵庫 | 1,548 |
9 | 茨城 | 1,386 |
10 | 福岡 | 1,280 |
(2)建物火災
順 位 |
都道 府県 |
建物 火災 |
1 | 東京 | 3,077 |
2 | 大阪 | 1,427 |
3 | 神奈川 | 1,245 |
4 | 愛知 | 1,076 |
5 | 埼玉 | 1,063 |
6 | 千葉 | 984 |
7 | 北海 | 963 |
8 | 兵庫 | 813 |
9 | 福岡 | 739 |
10 | 茨城 | 620 |
(3)死者数
順 位 |
都道 府県 |
死者数 |
1 | 東京 | 追記 |
2 | 埼玉 | 追記 |
3 | 愛知 | 追記 |
4 | 北海 | 追記 |
5 | 千葉 | 追記 |
6 | 大阪 | 追記 |
7 | 福岡 | 追記 |
8 | 神奈川 | 追記 |
9 | 茨城 | 追記 |
10 | 兵庫 | 追記 |
(4)出火率 {人口1万人あたり}
順 位 |
都道 府県 |
出火率 |
1 | 茨城 | 4.81 |
2 | 山梨 | 4.61 |
3 | 大分 | 4.57 |
4 | 栃木 | 4.51 |
5 | 山口 | 4.43 |
6 | 鹿児島 | 4.26 |
7 | 高知 | 4.18 |
8 | 長野 | 4.14 |
9 | 宮崎 | 4.14 |
10 | 島根 | 4.04 |
- 出火率の全国平均は3.08です。
- もっとも低かったのは富山県で1.73です。(33年連続で全国でもっとも低い)
住宅火災の原因はコンロが1位
住宅火災では「コンロ」がもっとも多くなっています。火の消し忘れが約半数ということです。電気コンロを含め油火災にご注意を!天ぷら油(菜種油、コーン油、大豆油等)は、360℃を超えると火種がなくても発火します。卓上の消火スプレー(ABC火災対応)を備えると初期消火に役立ちます。
住宅火災での出火原因
順位 | 原因 | 件数 |
1 | こんろ | 1,744 |
2 | たばこ | 1,355 |
3 | ストーブ | 770 |
4 | 電気機器 | 745 |
5 | 放火 | 715 |
6 | 配線器具 | 683 |
7 | 電灯電話等の配線 | 513 |
8 | 灯火 | 328 |
9 | 放火の疑い | 311 |
10 | たき火 | 174 |
大雨による水害被害にあわれた建物は、配電盤などの点検(漏電などのチェック)も必要です。
2024年夏は大雨になった地域が多く、建物の浸水被害にあわれた方は、漏電による火災にも注意が必要です。またコンセント内部のホコリなどに水分付着などが目立つと漏電の原因になります。(専門業者による漏電チェックをおすすめします)
コンセント内のホコリも清掃 | 漏電チェック |
コンセント内を含め配線機器の清掃には感電リスクがあります。ブレーカーを落としてから行う、感電防止手袋の使用など十分な安全対策が必要です。
放火(疑いを含む)は252件発生
死者が発生した火災の出火原因のうち、放火(疑いを含む)は252件発生(前年比+20件)しており、266人(同+22人)が亡くなっています。全火災による死者1,500人の17.7%で、5.5人に1人が放火(疑いを含む)の犠牲者です。
放火が多く発生した月
- 3月:452件(11.7%)
- 12月:390件(9.5%)
- 1月:385件(9.4%)
※すべての放火件数
放火の発生時間帯
- 16時~17時台:396件(9.7%)
- 20時~21時台:359件(8.7%)
- 22時~23時台:335件(8.2%)
※時間帯不明:616件(15.0%)
放火は狭い地域で連続して発生するケースも少なくありません。放火または疑いがある火災が発生した場合は、地域の安心メール等からの情報を活用し、放火を防ぐ対策を共有することが大切です。
放火対策
- 家の周囲に可燃物を含め物を置かない。
- ゴミ出しは指定日以外に行わない。
- 監視カメラの設置。
- 集合住宅の駐輪場などはセンサーライトの設置。
- 空き巣の防止対策と同様に、狙われない環境づくりが大切です。
現住建造物放火罪(人が住んでいる建物・乗り物などへの放火)は、「死刑または無期、5年以上の懲役」と非常に重い罪です。
命を守る7つのポイント
火災のニュース等では焼死と報道されるケースがみられますが、焼死に至る約8割は煙や可燃物が燃えることで発生する有毒ガス(一酸化炭素、塩化水素、シアン化水素など)によって、逃げ遅れることが原因といわれています。
寝たばこでは灰皿にたまった吸殻が燃えるだけで、有毒物質を含む大量の煙が部屋に充満します。煙に気づき目が覚めても体の自由が奪われ、逃げ遅れるケースも少なくありません。
消防庁は住宅用火災報知器の点検(電池切れの確認など)・交換(10年が目安)を呼び掛けています。
3つの習慣
- 寝たばこは絶対やめる。
- ストーブは燃えやすいものから、離れた位置で使用する。
(こたつの中で衣類を乾かさない) - ガスコンロなどのそばを離れるときは、必ず火を消す。
4つの対策
- 逃げ遅れを防ぐために、住宅用火災警報器を設置する。
(10年を目安に交換) - 寝具、衣類及びカーテンからの火災を防ぐために、防炎品を使用する。
- 火災を小さいうちに消すために、住宅用消火器等を設置する。
- お年寄りや身体の不自由な人を守るために、隣近所の協力体制をつくる。
火災だけでなく一酸化炭素中毒にもご注意を。部屋ではガスコンロ、七輪・火鉢や囲炉裏の使用時に危険性が大きくなります。気づきにくい事故であり、換気に注意が必要です。